ペクレールのファッションディレクター、エリザベス・プラットが選ぶ、パリ・ファッションウィークのベストコレクション。

9月25日から10月3日まで開催されたパリ・ファッションウィークが幕を閉じました。

2024年春夏プレタポルテ・ショーの最後を飾るパリ・ファッションウィークでは、創造性とリアルさのバランスに優れたコレクションが見られます。全体的にレベルが高く、ベストコレクションを選ぶのがより難しく感じます。また、今シーズンのパリは、他の都市と同様、落ち着いたミニマルでクラシックなムードが強まっています。

特筆すべきは、これらが春夏向けのコレクションとは言いきれないこと。デザイナーたちは、セールスの大半がオフシーズンに行われることを意識しているようで、袖のあるアイテムが多く見られました。

これらのコレクションに共通するもうひとつの特徴は、同じシルエットのバリエーションを少しずつ変えて提案するという傾向。多様なアイテムに力を分散するのではなく、認知されやすい一つのシルエットを作ることに集中しているようです。

CARVEN カルヴェン

かつてジョゼフやラコステで活躍したルイーズ・トロッターが、マダム・カルヴェン以来、ブランドを率いる初の女性クリエイティブ・ディレクターに就任しました。彼女は、アーカイブを掘り下げるのではなく、ブランドの未来へと舵を切り「レス・イズ・モア(より少なく、より良く)」のコンセプトを展開しています。

MIU MIU ミュウミュウ

ミュウミュウは、プレッピースタイルを刷新。コンサバティブなトップスに、テクニカル素材のビーチウェア風ボトムスの組み合わせ。ポロシャツ、ボーイッシュなショートパンツ、マイクロ丈のフレアスカート、小さなジャケットといった「リアルなアイテム」に、アイウェア、オイリーでタイトな髪、エスパドリーユをミックスしています。

LOEWE ロエベ

JWアンダーソンで、新しい日常生活のための「日常着」を提案するジョナサン・アンダーソン。ロエベでもこのコンセプトが反映され、メンズウェアを彷彿とさせる「控えめな」アイコンアイテムを、細長い新しいシルエットに落とし込んでいます。

SAINT LAURENT サンローラン

サンローランは、コットンのジャンプスーツを展開。アントニー・ヴァカレロは「たくさんの複雑なもの、たくさんの刺繍、たくさんの装飾を目にしてきたので、それらをすべて取り除き、必要以上のことをしないようにしました。“スペース”を整えるために」と語っています。ペクレールのトレンドブック「ウィメンズファッション 24-25年秋冬」でも取り上げた、アメリア・イアハートのようなパイオニアからインスピレーションを得たコレクション。

ACNE アクネ

複雑なシルエットが何シーズンも続いていたアクネですが、クリエイティブ・ディレクターのジョニー・ヨハンソンは極端なシンプル化に方向転換しています。シンプルな見た目の素材が、プリーツやカットアウトを入れたスカートなど、革新的な構造を際立たせます。JWアンダーソンと同様の影響が、明確に表れたコレクション。


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