ペクレール・パリは、9月に開催される世界最大級のインテリア&デザイン関連の国際見本市 メゾン・エ・オブジェとのパートナーシップを結びました。デザインと革新の分野でリードするペクレールとメゾン・エ・オブジェのコラボレーションは、来場者にダイナミックでエキサイティングな体験をもたらすでしょう。「エンジョイ:喜びを求めて!」と題した新シーズンは、どのような展示になるのでしょうか?
色と華やかさ、独創性、ユーモアが再び、魅力的なインテリアを生み出します!
これは単なるトレンドというよりも、新たな「始まり」です。この9月、「エンジョイ」というテーマが、新たなインスピレーションと興奮を呼び起こします。コロナ禍での制約から解放され、心を躍らせる魅力と喜びが広がります。
2023年9月7日から11日まで、メゾン・エ・オブジェは「喜びの探求」をテーマに、色と華やかさ、独創性、ユーモアといった付加価値を提案します。喜びに溢れるウェルビーイングなインテリアに触れ、デザインで幸福感を高め、賑やかなファンタジーのムードに浸る…トークやイベント、そしてメゾン・エ・オブジェの新しいセクションを通して、この「エンジョイ:喜びを求めて!」というテーマを体感してください。
楽観主義が高まり、新たに花開くヘドニズム(快楽主義)
ここ数年の間、ウェルビーイングは、環境・自然との調和や倫理的で合理的な消費と結びついており、「質素な快楽主義」と呼ぶべきトレンドが広がりました。この潮流は終わりを迎えたのでしょうか? いいえ、そうではありません。
しかし、影響力が弱まることは明らかです。人々はこれらの課題に取り組みつつも、再び日常生活に魅力を見出したいと感じています。「高尚な快楽主義」と定義されたこの新しい願望は、ペクレールの調査・分析でも度々観測されています。「憂慮すべき局面にある私たちは、ターニングポイントを迎えています」とペクレールの住宅・環境・デザイン部門のディレクター、パトリシア・ボーソレイユはコメントしています。「私たちは極めて合理的であろうと努力していますが、結局、人は矛盾を抱えた存在であることに気付いたのです。私たちはウェルビーイングを保つために、謙虚でありながらエクスクルーシブな、自分本位の領域を必要としています。楽観主義に戻る必要があるのです。」
9月のメゾン・エ・オブジェで見られる、喜びの表現とは
•魅了する表現力
喜びの表現の中でも、目立つことを恐れないどころか、むしろ個性を主張したいブランドやクリエイターが際立っています。まるで自己表現のゲームです。例えば、数秒で新しいコスチュームを身に付けた、人工的なアイデンティティを作り出すことができる写真編集アプリLensa AIのように。これは、多様で創造的なアイデンティティを構築したいという願望の顕れです。特に、ホテルやレストランのような空間では、Studio 54やPalaceのようなディスコやナイトクラブのグラマラスな雰囲気が復活しています。ロドルフ・パランテ(Rodolphe Parente)の創り出す、感覚的でセンシュアルな世界は、私たちを特別な夕べへと誘います。そこにあるのは、華やいだノスタルジックな退廃の感覚。今この瞬間を楽しむために、日常生活を華やかなパーティーのように変えるのです。さらに、ドラマティックな要素も広がっています。例えば、2021年のパリデザインウィーク期間中にLaparraで展示されたユクロニア・スタジオ(Uchronia studio)の「Stolen Objects from the Sea」のように。
「70年代後半から80年代のグラマラスさと官能性、贅沢さがリバイバルしています。特に若い世代は、セクシーな美的表現を取り入れ始めています。また、ナイトライフの世界が今日のデザインに影響を与え、インスピレーションもたらしています」と、パトリシア・ボーソレイユはコメントしています。
「家」の定義は、静かな安らぎの隠れ家から、自己表現の場に変わろうとしています。特に、光沢やメタリック、センシュアルな形状など、空間の中で光が重要な役割を果たします。「In the City」で展示された新しいテオレム・エディションズ(Théorème Editions)のコレクションや、見本市の常連であるアメリカ人デザイナー、ジョナサン・アドラー(Jonathan Adler)のミックス感のある提案にこれらの特徴が見られます。製品のディテールにも華やかなデザインが施されており、例えばマチエール・グリス(Matière Grise)のクラシックなチェア Batchairは、グラマラスな真鍮で装飾されています。また、ヴィクトリア・ウィルモット(Victoria Wilmotte)の鮮やかな色のテーブルにはひだ飾りが、そしてアン&エンジェル(An&Angel)の装飾的なガラスのオブジェには、コッパーの輝きとふっくらとした曲線が与えられています。
•自由な創造性
大人の生活にも、無邪気な瞬間が必要です。いつも驚きに満ちた子供の世界と遊び心が、日常に活気を与えるのです。アーティストや建築家、デザイナーは楽観的な視点で、夢や現実逃避へと誘います。この喜びの探求は、風変わりなユーモアを交えて表現され、ユートピアや幻想の世界を描き出します。そして逸脱やプロポーションの変化、大胆な美的表現、子供っぽい実験によるデザインが、新しい現実の姿を浮き彫りにします。ナイジェリア出身のインカ・イロリ(Yinka Ilori)はロンドンを拠点に、鮮烈な色彩で喜びを表現しています。
「今、心と身体の関係が非常に重要です。感情とポジティブな動きの追求が、この喜びのムーブメントの基盤です」と、パトリシア・ボーソレイユは語ります。「私たちは、楽しくポップでカラフルな領域に冒険しています。そして、60年代の理想主義のデザイナーが生み出したレトロフューチャリズムに親しみを感じています。彼らが未来を純粋な目で見つめたように、私たちも純粋な未来を求めているのです。」
鮮やかで自信に満ちた色は、日常生活に喜びを取り戻します。素材が安心感をもたらし、プロポーションの変化が、ドールハウスやおもちゃのような楽しさを伝えます。ミュラー・ヴァン セヴェレン(Muller Van Severen)による、ある意味子供っぽい、シンプルなパイプの構造は、誰もが楽しくなる「集団的な楽観主義」の一つと呼べるでしょう。この清々しいトレンドは、マルセイユの13dessertsのコレクションを思い起こさせます。このブランドは数シーズンにわたり、メゾン・エ・オブジェやパリデザインウィークに出展し、注目を集めています。この楽しいトレンドは他にも、メゾン・ダダ(Maison Dada)、ブルー・シトロン(Bleu citron)、カラガー(Kalager)、カラーセラピス(Colortherapis)、プルポ(Pulpo)、イババ・ルワンダ(Ibaba Rwanda)など、 家具や装飾品、ファッション、ホームアクセサリーなど全てのセクターに見られます。
•高められた感覚
本質回帰と結びついたウェルビーイングにおいて、喜びをもたらすのは熱狂的な感情ではなく、実験的な探求です。例えば、デジタル技術は新しい自己認識をもたらし、楽しくシンプルなウェルビーイングへの道を開きました。心の穏やかさを求める過程においては、拡張現実と感覚的な没入が取り入れられ始めています。そしてこの物質的な変化が、新たな形状や感覚を生み出そうとしているのです。
「私たちは形のないものを求め、形のあるものを美しく高めようとしています。つまり、デジタルの世界で触れられないものを創り、それを現実の世界で再現しようとしているのです」パトリシア・ブーソレイユは、こう説明します。
「デジタル世界の空想的な美的表現から、思いがけないような素材感、金属化、発光、クロームの強烈な輝き、エルゴノミックな形状、あるいは生物のように流動的な形状をつくり出すことができるようになるでしょう。」
このアプローチは、デザイナーのサビーヌ・マルセリス(Sabine Marcelis)にも通じています。彼女のプロジェクト「バーチャル・タクタイリティ」では、バーチャルなデザイン作品を通じて感覚的な体験を提供します。また、カタバ(Kataba)のシェルフ「フレクエンス」の反復的な金属構造や、フランチェスコ・バルザーノ(Francesco Balzano)によるテオレム・エディションズ(Théorème Editions)の柔らかで丸みを帯びたデザイン、スウェーデンのデザインスタジオ、スタムリ(Stamuli)のチェア「Unstressed」、スタジオ・アルゴ(Studio Argot)による3Dプリントで作られた玉虫色の花瓶からも同様に、デジタル的な表現を見て取ることができます。
このテーマをより深く掘り下げた、「ENJOY: in quest of pleasures(エンジョイ:喜びを求めて!)」という動画もご覧いただけます。この動画は、Maison&Objet Academyで公開されていたものです。
また、9月のメゾン・エ・オブジェの会場では、「エンジョイ:喜びを求めて!」というテーマを、広さ200㎡の3次元空間で実現します。未来のトレンドを象徴するアーティストの作品やオブジェ、素材が、五感を刺激する没入型の体験を提供します。ぜひ会場で「喜びの追求」を実際に感じてみてください。
関連記事:
「Inspire Me!(もっとひらめきを)」: 喜び溢れる体験