ホテル・飲食業界のための展示会EquipHotel(エキップホテル)が、新しいデジタルプラットフォーム「eh!ONLINE」を立ち上げました。
eh!ONLINEでは、バイヤーや設計者がホテル・飲食店向けの設備と製品を探し、調達することができます。また、このデジタルプラットフォームは、専門家によるコンテンツも提供し、その時々のトレンドを瞬時に知ることができます。
このEquipHotelが、ペクレールの環境・デザイン部門ディレクター、パトリシア・ボーソレイユに独占インタビューを行いました。
パトリシア・ボーソレイユは、トレンド予測機関「Univers Mode」の設立と発展に貢献したことでも知られ、住まいや環境だけでなく、ファッションと色彩の分野でも国際的に活躍してきました。また、フランス色彩委員会(Comité Français de la Couleur)の副会長を務め、プルミエールビジョン・カラーの選定会議にも毎シーズン参加しています。
その幅広い専門知識は、ペクレールのクライアントがクリエイティブなビジョンを展開する上で、紛れもない付加価値をもたらしています。現在、ペクレールの取締役会のメンバーでもあるパトリシアは、チームと共にトレンドブック「エンバイロメント&デザイン」の製作を担当し、住まいや消費財、環境、ライフスタイル関連のクライアントへのアドバイスを行っています。
毎朝目覚める理由(日々の生きがい)は、何ですか?
まず一つ目は、好奇心です。新たな「兆し」の発見は、革新的なクリエイションを導くためのインスピレーションとなります。
ペクレールの環境・デザイン部門ディレクターである私は、さまざまなブランドや産業のコンサルタント業務を担当しています。家具・インテリアに関すること、インテリアデザインや家庭でのウェルビーイングについて、日々研究し、分析を行っています。
また、専門家によるチームと共に、モビリティや健康、より良い生活など、私たちの日常生活を左右するあらゆるテーマを扱っています。私が毎朝目覚めるのは、紛れもなくこの好奇心のためです。
あなたの哲学、または未来へのビジョンを一言でいうと?
過去にこだわり過ぎず、常に未来への前向きなビジョンを持っていたいと思っています。私が過去に目を向けるのは、歴史に裏付けられた美しさからインスピレーションを得て、それを新たな形で表現するためです。
未来に自信を持ち、新しい様式やコンセプトを発明するための適応力と創造性を信じることが私の哲学です。最近、特に興味があるのは、レジャーや消費、コミュニケーションの方法を変えつつある新しいテクノロジーやデジタル、3D、フィジタル体験(物理的+デジタルが融合する体験)です。 クリエイション、デザイン、産業、そしてサービスまでもが、これらの新しいテクノロジーを通して見直されており、この革命には心底ワクワクします。また、このフィジタル体験は小売業からホテル業にも拡大し、宿泊の体験をさらに広げていくと想像しています。このように未来に足を踏み入れて、イノベーションを信じることが重要であると同時に、人間性、つまり創造性を再活性化することも不可欠だと思います。
2020年から何を学びましたか?
2020年は、「謙虚さ」を学ぶ年でした。謙虚さとは、これまでとは異なる方法で、生態系における人間の立場を問い直すことであり、自分たちに新たな基準を課せるようになることです。
2つ目の学びは、自然とのつながりを求める人間の本能的な欲求への気づきです。自然から遠ざかってきた私たちが、自然とのつながりを取り戻したい、土に触れたい、植物を育てたい、海辺の砂に触れたい、自然と調和したい、と感じたのは当然のことでしょう。
そして最終的に、私たちの最も深いところにある自然と向き合うのです。これらの学びは、未来に対する私のビジョンの指針となっています。
あなたの次の大きな挑戦は?
ペクレールは、いわば挑戦し続けてきたと言えるでしょう。企業からは、戦略や美的表現の方向性、再考すべき未来のビジョンについての協力を求められます。次の私の挑戦は、企業のクリエイティブ戦略に関する課題に取り組むことでしょう。そしてまた、現在と未来の消費者が期待するものについて見極め、理解するために、私たちの周りで何が起こっているのかを常に意識することです。
仲間と共有したいアイデアや経験は何ですか?
もう一度、自然の再発見という考え方に戻りますが、自然への欲求は今に始まったことではありません。しかし、今日では、高まりつつある持続可能性への意識と結びついています。私が伝えたかったのは、この方向性に沿って、エコデザインやエコイノベーションに向けた動きを加速させたいという思いです。ホテルについて言えば、自然の発見につながる体験をコンセプトとして広げていく必要があります。また、テロワール(土地に根差すもの)の概念に立ち返るべきです。これは、若い世代を含め、ハイパーローカル(超地域密着型)や地域のノウハウ、地元の工芸品の継承に興味を持つ人たちに強く支持されています。これと同時に、表現力やファンタジーが求められる「熱狂の時代」に突入しているのではないでしょうか。私からの最後のアドバイスは、自分の欲求に限りなく従うことです。コンセプトやブランドは恐れずに、創造性や個性、表現を強く主張していくべきです。限界を超えることを恐れてはいけません。ある意味、少しの狂気を持つことです。
ブランドやチェーンの魅力を取り戻す方法とは?
創造性の自由を取り戻すことです。私たちは今、サービスや製品、空間、世界観を生み出す際に、厳密な仕様に沿って、物事をコントロールしています。社会的・職業的分類や年齢など、必ずしもターゲットを絞る必要はなく、もっと横断的で直感的にデザインをしてみてはどうでしょうか。もっと自然に、もっとダイレクトに消費者にアプローチできるはずです。人から、個人的な経験から、感性や感情から、インスピレーションを得て創造することです。私の挑戦は、チームと共にフォーカスするトレンドの中で、この感情的な面を発信し続けることです。
このインタビューの原文記事(フランス語のみ)は、eh!Onlineのウェブサイトをご覧ください。