2023年1月16日

毎年、ラスベガスで開催されるデジタル技術見本市 CES (コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)は、技術革新について知り、今後の主要なトレンドを読み解くための重要な展示会です。2023年は25,000㎡の会場に、若手ベンチャーから大手企業までの4000社以上が出展しました。

コロナ禍によって働き方や仕事に関する価値観が揺らぐ中、企業やブランド、メーカーはその変化に対応するためのソリューションを提案しています。

「サイレント・クイッティング」(成果主義の放棄)や「グレート・レジグネーション」(大量離職時代*)といった風潮が示すように、仕事に対する冷めた感情が社会に影響を与えており、企業はより魅力的であるべく努力が求められています。

* 米国では調査対象者の49%が、2023年に新しい仕事を探したいと回答(ISOLVEDレポート、2022年12月)。

同時に、従業員は日々の業務を円滑に進めるためのツールを求め、新しいテクノロジーを積極的に取り入れています。仮想世界やデータ集約、デジタルプラットフォーム、人工知能、ブロックチェーンシステムなどは、ビジネスの世界全体を 簡易化するテクノロジーのほんの一部に過ぎません。

そして、在宅勤務の常態化に伴い、多くの企業がリモートワークやコミュニケーションのためのシンプルなソリューションを提供しています(ポストコロナ時代を迎えた米国では、従業員の約15%が勤務地から800km以上離れた場所に居住している( Publicis社のRishad Tobaccowalaによるレポート ))。

La Vitre(フランス語で窓の意味)は、フレンチテック*のエコシステムで評価されているスタートアップで、企業内に設置する拡張スクリーンを提供しています(購入またはレンタル)。様々なスペースに設置されたこれらのスクリーンを通して、世界中どこでも簡単に交流することができ、自動翻訳やタッチスクリーンでの文書共有、フルモーションビデオなど、実生活に近いコミュニケーションを可能にする 機能も備えています。

* 起業家と投資家、アクセラレーター、公的機関などが一体となってスタートアップのエコシステムを創造する、フランス政府によるプロジェクト。

拡大するバーチャル世界は、社会の未来を変え(レポート:CES 2022:メタバース ― コロナ禍の文脈における可能性)、企業や従業員にとって便利なものとなりつつ あります。さまざまな仕事の場をシミュレートしたバーチャル空間に従業員を集めるなど、その用途は多岐にわたります。

職業訓練のサポート、トレーニングや採用ツール、あるいはすべての製品開発・工業化プロセスの予測や簡素化など、バーチャル世界はプロセスの短縮を可能にします。そしてコストや人的・財務的リスク、市場投入までの時間を大幅に削減することができるのです。

アメリカのMagic Leap社が開発するプロフェッショナル向けの拡張現実技術は、3DモデリングツールとARグラスにより、プロジェクトに関わるすべての人が遠隔で共同作業を行うことが可能です。世界のどこにいても、それぞれが3Dオブジェクトを視覚化し、簡単に修正することができ、低コストで未来のイノベーションの構想を組み立てることができます。

さらに、働くことに意味を求め、自分の趣味を仕事にしたいと考える人が増えています。あらゆるアイデアをお金に変え、自らの発信に価値を見出すために、アイディアを共創によって形にし、収益化するプロセスを簡略化するテクノロジーが注目されています。アマチュアがプロになるのです。

Prelaunch.comは、新規参入者が製造の早い段階において、新製品を低コストでテストマーケティングできるプラットフォーム。開発中の製品についての投票を行い、消費者からの意見を集めたり、コンセプトや価格の妥当性について尋ねたり、集められたアイデアや知識をもとに製品の最適化を行うことができます。このプラットフォームは、発信力を高めたいクリエイターや個人を対象としており、すべての  アイデアを製品や仕事に結びつけることを目的としています。

仕事のあり方が変わり続ける今、テクノロジー企業は常に新たな方法を提案し、新しいツールを生み出す必要に迫られています。今後の発展が期待されるこの分野は、関連メーカーが注目する研究対象であることは間違いないでしょう。

テクノロジーがどのように社会の価値観の変化に調和していくのか、そして、その絶え間ない進化がファッション、ビューティ、デザイン、あるいは消費財の可能性をどう切り開くのかを今後も観測し、分析していきたいと思います。