新型コロナウィルスの拡大によって消費者行動が日々変わり続け、美容・コスメのDtoCブランドや小売店は、そのビジネスのやり方を変えざるを得なくなっています。アメリカでの美容・パーソナルケア用品の売り上げは、自宅でできる美容に関連する一部の製品カテゴリーに集中しています。
一方でこの危機は、既存のトレンドと消費者行動をさらに加速させています。美容業界を変えつつあるこの新しい動向について、そしてブランドがこの大きな転換をどのように受け止めているのかを、ペクレールのアメリカ支社がレポートします。

「ホームケア」新しいビューティ&ウェルネスの形
アメリカの消費者はスキンケアやボディケア製品、ヘアカラー製品、健康のためのオンライン・レッスンなど、毎日のセルフケアを重視し始めている。
スキンケアツールとトリートメント
スパやエステが閉鎖される中で、スキンケア製品、肌のトリートメントやセルフマッサージ、ケア用のツールが売り上げを伸ばしている。
ハンドケア
ハンドクリーム、ハンドウォッシュ、手の殺菌剤の需要が特に高い。中でもEOは、1300%も売り上げが増加。

ネイル
全米でネイルサロンが閉鎖され、店舗では除光液などのネイルケア製品の在庫切れが続出している。ロサンゼルスのOlive & Juneのネイルキット(マニキュアに必要な製品とツールのセット、50〜80ドルで販売)は、ここ数週間で売り上げが8倍に伸びた。

セルフヘアカラー
ラグジュアリー・ブランド・パートナーズのCEO テヴ・フィンガーによると、サロンでヘアカラーを行っていた消費者の間で、R+Coのルートタッチアップスプレー(根元の白髪隠しスプレー)の使用が拡大している。
免疫を高める
既に、新型コロナウィルスに効果がないことが報告されているにも関わらず、現在も消費者はビタミン剤やサプリメントを購入している。例えば、Beekeeper’s Naturalsが発売した、プロポリス配合の喉スプレーの売り上げが急上昇している。

CBD
不安を解消するために、CBD(*)を購入する消費者も多い。DtoCブランドのPlant Peopleは、CBD配合のBe Calmカプセルと睡眠導入エキスにより、先月の売り上げが40%増加した。
*リラックス効果や鎮痛効果をもつ大麻草成分の一つで、医療用として使用される。

デジタルプラットフォームへの移行
店舗が閉鎖され、イベントは物理的環境からスクリーンへと移行せざるを得なくなった。そしてブランドはデジタルプラットフォームを利用しつつ、ライブな感覚を伝えなければならない。これに素早く対処するため、ビューティブランドは、販売員の専門性を消費者の自宅へ届けるためのプランを立て、実行に移している。
消費者と接する方法
バーチャルなイベントにおいてブランドは、製品についてのメッセージを明確にし、現在の危機的状況を踏まえた上で、それを伝える必要がある。特に製品を使ったデモンストレーションやチュートリアルは、バーチャルなイベントに適している。
注目の新しいブランド
Project Woo
ロサンゼルスの人気タトゥーアーティストDr. Wooが製造する、5種類の原料だけで作られたシンプルな石鹸、デイリージェントルソープ。売り上げの利益は全て、新型コロナウィルスの影響を受けた子供たちや家族に必要な物資を届ける非営利団体Baby 2 Babyに寄付される。

Fable & Mane
今月、eコマースで立ち上がったばかりのFable & Maneは、アーユルヴェーダの療法を家庭に届けることを使命とするヘアケアブランド。ヘアマスク、シャンプー、コンディショナー、カスターオイルとアシュワガンダを配合したトリートメントオイルのラインナップによる、HoliRootsシリーズを販売。

BOTA
BOTAはバランスド・ヘルス・ボタニカルスの3つ目のブランド。4月2日に、DtoCプラットフォームで、クリームとローションの新製品を販売するライブコマースを行った。毎日のお手入れに快適さと心地良さをもたらす、植物由来原料とCBDのみで作られた製品。
新しい消費者行動への対応
アメリカでは今、何百万人もの人々が自宅に籠って過ごしています。そんな中で顧客体験の中心となるのは、変化するニーズに合わせ、共感や配慮をもってブランドが提供する「体験やサービス」です。ブランドは、常に変化する環境の中で迅速にイノベーションを起こし、顧客の嗜好の変化をリアルタイムで捉え、それに応えていく必要があります。