2022年11月23・24日 ミラノ
イタリアで開催された今回の展示会は、イタリアンデニムの歴史とノウハウにスポットを当てています。
業界関係者による環境保護責任やメイド・イン・イタリーに関する講演、そして環境保護のためのプロジェクトやインスタレーションなどが展示されました。
これまで以上に高まる環境保護責任への意識
- 繊維の進化
オーガニックコットンが、よりクリーンなものに発展しています。特に、サプライヤーがリジェネラティブ農業(環境再生型農業)で生産されるコットンに関わり始めていることに注目です。リジェネラティブ農業とは、適切な水と土壌の管理に重点を置く、持続可能な農法のこと。
リジェネラティブ農業やリジェネラティブ・オーガニックコットンの認証についての国際的な体系づくりが進められています。
植物繊維が影響を強めており、リネン/コットン混、中でもヘンプとコットンのブレンドは、強さとしなやかさを兼ね備えています。
化合繊:リヨセルはコットンまたはヘンプと混紡され、柔らかさと落ち感、しなやかさをもたらします。また、大豆タンパクやバナナなどの農産物残渣を利用したバイオポリマーからも、新しい繊維が開発されています。
リサイクルコットンやリサイクルポリエステルの使用。CiCLO® テクノロジーは、添加物を加えることでポリエステル糸の堆肥化が可能です。エラスタンもリサイクルされ、洗濯時に微粒子を放出しない、よりクリーンな繊維に生まれ変わっています。

- 環境に優しい染料
化学薬品を使わず、エネルギーの消費を抑えた、果物や花、植物、貝、根、スパイス(ターメリックなど)、粘土から抽出された天然染料。
コットンを染めると通常、褪せたような色合いになりますが、非常に鮮やかなパステルカラーのものもあります。また、元の色を残す再生繊維を染めずに使用した、グレーや青みがかった色味の生地も。
エクリュ(生成り)の無染色デニムと共に、ナチュラルカラーのコットンも広がりを見せています。

環境保護責任に関するイノベーション
- 生分解性繊維
生分解率99%以上、210日で分解する初の素材「B210」。合成繊維、伸縮繊維、非伸縮繊維を含む製品に使用することができます。

- 低汚染でエネルギー消費の少ない染料
汚染物質のハイドロサルファイトを使用せず、インディゴ染料、苛性ソーダ、水、電気のみで染める、世界初のインディゴ染め技術「SMART INDIGO」を開発。
塩素や酸化剤を使わず、オゾンで分解できる反応染料を提供するイタリアの鉱物 化学メーカー。
アニリンを含まないインディゴ染料や植物染料を使用し、通常必要とされる水の使用量の95%を節約できる染色技術「Bigbox」を採用する中国の工場。

- 繊維のトレーサビリティ(追跡可能性)の新たな可能性
労働条件や環境に関するより詳細な情報を提供するために、サプライチェーン全体を追跡する技術が開発されています。
「Helixa」のバイオマーカー、「Applied DNA Science」の分子マーカー、「FiberTrace」の発光性ナノ粒子など、さまざまな処理・加工に耐える繊維の中心部にトレーサー(追跡子)を組み込むことが可能になりました。
24SSのハイライト
ヘリテージ
デニムのルーツと原点に立ち返り、ワークウェアの精神が再認識されています。
濃いインディゴ色のオーセンティックなデニム、環境に優しく耐久性に優れたリサイクル・ポリアミドまたはポリエステル繊維を使用したデニム、またはリヨセル混の軽く柔らかなデニムのシャツ地。

ネップの効果。

ユーズド&ビンテージ調
古色を帯びたダスティカラーの洗い加工、エイジング効果、錆びたような赤やパープル、焦げ色のオーバーダイ。

スプレーによる部分的な色落ち、レーザー加工によるぼかした繊細な色落ち、パッチや補修。

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