プルミエール・ヴィジョン2020-21年秋冬は、そのオフィシャルサイトに加え、年間を通じてオンラインで出展者のコレクションを展示する「マーケットプレイス」という、完全にデジタル化された形で開催されました。

バイヤーとサプライヤーをつなぐツールやカンファレンス、コンテンツを提供した、この初のデジタルショーには、1,675の出展者と19,500名を超えるビジターが訪れています。この展示会の成功と共に、ファッションディレクターのパスカリーヌ・ウィルヘルムが、次のトレンドとなる楽観的なヴィジョンについて語ってくれました。 

プルミエール・ヴィジョンでは、2021-22年秋冬のトレンドを見極めるために世界中のパートナーとのオンライン・カンファレンスが行われました。このシーズンで最も重要なことは何でしょうか?

パスカリーヌ・ウィルヘルムPW):このシーズンは、構造的な穏やかさが求められます。「美しいノウハウと本物感」が、優しく穏やかに身体を保護するテクノロジーを通して、人と自然を守っているという感覚をもたらします。これが新しい未来への扉を開くのです。

確かに2021-22年秋冬は、守られている安心感が強く求められそうですね。この感覚はどのような素材で表現されるのでしょうか?

PW:柔らかさとぼかした表現が好まれ、丸みとあいまいな輪郭など、攻撃的な印象のないプロテクションが重要になります。

センシュアリティ(官能性)とテクニカルな機能を融合し、繊細さと感覚的な面を帯びたプロテクションです。優しく、柔らかな触感の素材と表面、例えばモヘア混のメルトン、ふっくらとしたブークレーウール、毛足の長いチェック素材などです。

しなやかで力強い、包み込むような量感。またキルティング生地にも注目で、コントラストのある素材を使ったり、エレガントなサテン調や新しいステッチワーク、超スムースな表面などを取り入れて、刷新されています。

あるいは超薄地レザーとテキスタイルをミックスした3層の新しいキルティング生地が、驚くようなハイブリッド感を生み出します。

見た目も触り心地も異なるダブルフェイスやリバーシブル生地。視覚的にも触感的にも意外性がありながら、機能性を高めています。

ルームウェアやアスレジャーが再び市場に広がりを見せていますが、環境に配慮した高機能素材はどのように進化していますか?

PW : 技術的な機能は、気候の変化や細菌から私たちを守る必要がありますが、一方で環境への配慮は目に見えない特性です。この特性に優れたファブリックやレザー、副資材が、未来を守るワードローブを作り上げるでしょう。

アクセサリーや繊維製品だけでなく、産業全体において生分解性や堆肥化可能な製品が増えており、トレーサビリティの確保や環境負荷の軽減に対する取り組みも進んでいます。

柔らかな素材へのニーズが、「オフィスウェア」やカッティング、シェイプにどのような変化をもたらすのでしょうか。

PW:量感と柔らかな触感は、ソフトなシンプルさへの欲求を反映したもので、知的で現代的な快適さをもたらします。

厳格さや冷たさを感じさせない、高貴さとアイコン的資質が求められつつ、ひねりを加えて一見「フェイク」のように見せかけます。

テクニカル素材との組み合わせが、機能性、快適性、美しさを調和させ、例えばウールの温かさと柔らかさを持ちながら、動きやすくエレガントな表現を可能にします。

遊びのあるルックや贅沢さが特徴的だった前シーズンと、今シーズンは何が異なりますか?

PW:2021-22年秋冬は溢れんばかりの創造性、あるいは穏やかな豊かさが生み出す、自由なファンタジーとコミットメントが広がっています。これからますます求められる、楽しさや前向きさを反映した素材や装飾です。

またテクノロジーが、新しい個性的な発展を促します。例えば、オーバーサイズシェイプ、3Dプリント、驚くような触感の素材、奇妙で魅力的な見た目、カラフルな色使いといったように。

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