隔離を強いられ、社会に出る自由を奪われていた私たちは、徐々にその自由を取り戻しつつあります。マスクで顔の一部を覆いながら。そんな中でパフュームが再び、感情や個性を表現するツールになるかもしれません。世界で自分の存在を表現するこの新たな方法に、ブランドはどのように取り組めば良いのでしょうか?

パフューム&ビューティ業界のインターナショナル・マーケティング&コミュニケーション・ディレクターであるステファン・ゴレ=デルヴァイリーが、その見解を語ってくれました。彼は25年間に渡り、エルメス、ジャン=ポール・ゴルチエ、エリー・サーブ、資生堂、そして現在はメゾン・キャロンで、デザイナーやアートディレクターの創造的なビジョンを基にプロダクトを生み出しています。

これから外出できるようになっても、マスクによって顔の一部が隠されてしまいますね。そんな中で、パフュームの役割とはどのようなものになるでしょう?

ステファン・ゴレ=デルヴァイリー:引き続き自己の内面や親しみと愛情、ウェルビーイングが追求され、パフュームは再び感情を高揚させる「エンハンサー」となります。そしてこれまで以上に、香りが他者の興味や欲望をかき立て、誘惑する役割を果たすでしょう。

では、打ち出し方はどう変わるのでしょうか?今、トレンドは「万人に愛されるスタンダードな香り」にあると思いますが。

それぞれの香り本来の美点に回帰することが、私たちの身体的、精神的なウェルビーイングに力を与えます。癒しや活性化など、自然の香りが私たちの気分にもたらす効果は疑う余地がありません。

なぜならそれぞれの香りは、安心感を与え、親近感を覚えるポジティブな記憶を呼び起こすからです。香りそのものが、クリエイティブ戦略の中心となるべきです。

今、パーソナライズ以外の方法で、パフュームが注目を集める要素とは何ですか?

製品の独自性を際立たせる、独特の個性です。香りは驚くような明るいパワーを発揮したり、あるいは反対にノスタルジックで内向的、親密なムードをもたらします。単にトレンドを追うのではなく、創造的な洞察と信念により、本物の「シグニチャー(特徴)」を提案することが大事です。

美しい素材を選び、過剰なほど大胆に原料を使い、これまでの香水業界にはなかったフローラルブーケを用いること。自然に近い形で、中毒性のある安心感のある香りを生み出すことを優先します。ブランドは、コミュニケーションやパッケージよりも、香りをビジネスモデルの中心に据えるべきです。

ブランドが押さえるべき、消費者行動の変化とはどのようなものでしょうか?そしてブランドを際立たせるために、どのような提案をすればよいのでしょうか?

香りは個性を表現し、感情を高めるものとして、消費者に認知されています。そんな中でブランドができることは:

  • オリジナル、またはエクスクルーシブなクリエーションによって、コレクションを広げる。
  • 自分や周りの人がその効果を試すことができる、香りのテスターの提供。
  • 今ある製品や原料に1種または複数の花のエッセンスを加えて、消費者と一緒にパーソナルな香りを作る。

長期にわたる幽閉生活で、私たちは香りにより敏感になっています。ですから、再び香りを楽しむことを再発見し、自分の感情や他人との関係、時間とその活動に合わせて香りを選ぶ必要があるでしょう。なぜなら、私たちの動きが香りを増幅させるからです。

私たちの習慣はますます変わり始めています。ブランドの成功と発展のために欠かせないものとして残ることは何でしょう?

透明性、コミットメント、サスティナビリティ。特にヨーロッパと北アメリカでは、より短いチャネル(集客するための媒体、経路)と近接した地域での製造が重要になるでしょう。環境に配慮したパッケージ。ボトルやパッケージに頼らずに、それぞれの歴史や信念、寛容さをボトルに詰めるのです。