自己内省がフォーカスされる中で、身体とバーチャル空間との関係が問われています。加速する新たな考え方、他者との新たな関係、新しい生活習慣、本質の新たな定義が、私たちの生活に思いがけない変化をもたらしています。

ジュネーブ民族誌博物館のヨーロッパ部門チーフキュレーターであるフェデリカ・タマロッツィに、この新しい世界の変化についてインタビューしました。民俗学者である彼女は、身体と心、健康と人間関係についての研究を専門としています。

外出できない状況が続いていますが、家に閉じ込もっていることが、私たちの身体や触覚、感覚にどのような影響を及ぼしているでしょうか?

フェデリカ・タマロッツィ:私たちは今、感情や親しみを表現する別の方法を見つけなければなりません。これまで親子、恋人やパートナー、友人や同僚たちと行っていた従来の方法とは違う、安全を確保できるジェスチャーを作り出す必要があります。これによって社会的・触知的な関係性が薄まり、その形も代わっていくでしょう。

同時に、私たちの行動は最小限に抑えられ、オンラインスポーツが新たな活動の場となり、私たちの身体的な知覚をも変えるでしょう。例えば今、多くの人々が身体的・物理的な能力に新たな発見を得ています。スポーツの習慣は、より手軽なものに、そしてパーソナライズされたものへと変わりつつあります。

インターナショナル・デザイン・アワードで銀賞を授賞した「ストーリーテリング・ファクトリー」。展覧会のキュレーターはF.タマロッツィ。MEG-Photo J.Watts©

今後、美容やウェルビーイングの分野で見逃すことのできない、新しい考え方や方法とはどんなものでしょうか?

FT:飾ったり、ドレスアップしたりすることよりも、身体を清潔に保つことがこれまで以上に重要なこととして認知されています。クリーンネス(清潔であること)とベーシックな衛生用品へのニーズが、極端なまでに高まっています。他人との接触が減る中で、例えばセルフマッサージのように自分自身で使う手軽でシンプルな製品、あるいは特別なテクニックのいらない近しい人と一緒に使う製品がますます広がることは間違いありません。

この隔離の状況や新しいコミュニケーションツールの広がりが、私たちの外見や服装をどのように変えるでしょうか?

FT:身近な人々以外からも、居住空間を見られる機会が増えたことから、2つの異なるライフスタイル —私的な隠す部分と、他人に見せる生活 — を調和させる必要があります。

プライベートと仕事の隔たりのない生活によって、シンプルな用途や快適さ、流動性が求められています。これが服装にも現れるでしょう。服には、社会的・職業的ステータスを表現することよりも、ウェルビーイングがますます求められます。そうは言っても、服を着ることで自分自身を表現し、魅力的であろうとすることに変わりありません。

バーチャル体験は、私たちの「消費文化」にどのような影響を与えていくでしょうか?

FT:遠くはなれた文化の体験は、様々な場所や作品に触れる機会を広げます。そして幅広いコラボレーションや文化的交流を可能にします。もちろんこれは、作品を実際に見たり、コンサート会場で音楽を聴くのとは全く異なる体験です。多様な世代が手軽にバーチャルにアクセスできるようになり、AMSRやハプティクス技術を取り入れた感覚や感情を掻き立てる実験的なハイブリッドが加速するでしょう。しかしながら、身体的感覚に訴求するイマーシブな文化的空間では、今後も実際に足を運び、体感することが必要でしょうね。

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