60周年を迎えたミラノデザインウィークは、6月7日から12日まで開催され、世界中のクリエイティブなコミュニティに不可欠なイベントとして、目覚しい復活を遂げています。
ミラノサローネ(SALONE DE MOBILE)
革新性と創造性にフォーカスしたミラノサローネ。サローネサテリテ(SaloneSatellite)では、サテリテ・アワード最優秀賞を受賞したナイジェリア人デザイナーLani Adeoyeなど、才能ある若手デザイナーの作品を紹介。Lani Adeoyeの家具は、伝統の技術にインスパイアされており、中にはバイオミミクリーに近似した作品も見られます。
エウロクチーナ(EURO CUCINA – サローネ国際キッチン見本市)
ペクレールのエンバイロメント&デザインチームは、エウロクチーナにも注目しています。高品質な素材と先進的な技術にフォーカスするこのイベントは、今回で23回目を迎え、素材感をテーマに展示が行われました。例えば、リズミカルな触感のあるレリーフで表現された木材と金属。鉱物素材は、滑らかに研磨された表面と、割られたようにごつごつとしたマットな質感の2つが見られます。また、石材では筋模様が復活しています。
フオリサローネ(FUORISALONE)
フオリサローネでは、2つの記念的な展示が行われました。20周年を迎えたトム・ディクソンの美しい作品の回顧展と、フィリップ・スタルクによるディオールのメダリオンチェアの再解釈「ミス・ディオール」を、光と影で演出した展示です。
今回のフオリサローネでは、ペクレールの「エンバイロメント&デザイン23-24年秋冬」トレンドブックのテーマを確認することができました。
特に、2つの傾向が強く現れています。ひとつは、「アンカリング(錨を下ろす)」のテーマで取り上げた、クラフトと先祖から伝わるノウハウに基づくクリエーション。もうひとつは、「トゥルー・ミス(本物の神話)」のテーマのように、私たちを時間や神話、様々な現実の旅へと誘うクリエーションです。
「アンカリング(錨を下ろす)」
昨シーズンと同様、ペロタではエルメスの展示が行われました。卓越したノウハウと強い色彩を融合させながら、メゾンのヘリテージを守り続けています。今回も、現代的なフォークロアの影響を受けて、クラフトがシックに表現されています。
また、このトレンドを象徴するように、バッジョ軍人病院で開催されたアルコヴァは、自然素材が美しい安らぎの空間をつくり出しています。ジュリア・フェラリス(Giulia Ferraris)がアトリエ・ヴェトラ(Atelier Vetra)のためにデザインした、アースカラーの天然繊維のクッションは、伝統の職人技術と現代のグラフィックの中間のようであり、石板の上に置かれ、素朴な小枝があしらわれています。また、アトラス山脈の集落で作られた「ベニ・ラグ(Beni Rugs)」の上には、長い羊毛の束が垂れ下がり、モニュメントのような雰囲気を醸し出しています。
ルシアナ・テシェイラ(Luciana Texeira)がスパポ・クリアティーヴォ(Supapo Criativo)のために制作した「Raiz da Trama」コレクションは、岩窟壁画を彷彿とさせる色の織物と照明、チェアで構成され、ブラジルのマットグロッソ州の職人技術を讃えています。
スパシオ・マイオッキでは、トゥーグッド(Toogood)とカーハート(Carhartt)によるインスタレーション「Re-Cut」が展示されました。部屋の中には、シンプルでありながら構築的な作業服を身にまとった巨大な人形がそびえ立ちます。
「トゥルー・ミス(本物の神話)」
もうひとつのトレンドは、暗闇の中の柔らかな光が、メタリックな輝きを生き生きと浮かび上がらせる、神秘的で奇妙な世界。
暗闇の中、交互の光線によって照らし出される「ミス・ディオール」。ルイ14世時代のバロック様式のチェアに、フィリップ・スタルクのインダストリアルな現代性がハイブリッドされています。オリジナルのメダリオンモデル(1947年)のアームレストが取り外され、フォルムはよりシンプルになり、これまでの制約から解放されて、伸びやかで洗練された美しさを放っています。
セマ・トパログル(Sema Topaloglu)は、照明のプロジェクト「Reflective Garden」を通じて、幻想的なバロックと豊かな自然の世界を甦らせました。ムラーノ島からインスパイアされ、彫刻や彩色が施された吹きガラスが、シュルレアルな花々を生み出しています。
6mの高さのアルミ製シャンデリア「Let there be light」でも、この神聖な体験は続きます。教会を彷彿とさせる大きな空間で、12mの鏡に反射する光の強さが奇跡を感じさせます。
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