装飾、家具、デザインの展示会 メゾン・エ・オブジェが100%デジタル化され、9月18日までオンライン開催されています。この「デジタルフェア」は、ブランドとバイヤーとのインタラクティブな交流を維持するものです。トレンドセッターとしての役割を担いつつ、提供するサービスやミッションを充実させるための方法について、メゾン・エ・オブジェのマネージング・ディレクターであるフィリップ・ブロカートに聞きました。

画像:M&O

100%デジタルへの切り替えは、モノや素材を実際に見て、触れることが必要なメゾン・エ・オブジェにとって大きな課題です。どのようにして実現したのでしょうか?

フィリップ・ブロカート(PB):4年前にデジタルプラットフォームを構築し、デジタル化を果たしたことで、展示会の体験はより没入感のあるものになり、国際的な規模でコレクションを発表する機会を提供できるようになりました。

すでに始まっているデジタルトランスフォーメーション(進化し続けるテクノロジーにより、人々の生活を豊かにすること)を加速させ、ブランドの発展を支援するという使命をさらに広げ、展示会の期間中だけでなく、年間を通してブランドの知名度やアクセス性を向上させることができました。

私たちの最大の強みは、ビジネスをつなぐコネクターとしての役割です。変化するニーズにリアルタイムで対応できるよう、幅広い提案を行い、企業にとっての特別なパートナーとなることを目指しています。

40万人に及ぶバイヤーとビジター、ブランドにとって、この変革がもたらしたポジティブな影響とは何でしょうか。

PB:このバーチャル空間には、装飾やデザインの変化やトレンドを発見したり、主要なテーマや必須の製品について学ぶための専門家たちが集められています。

現在の強み:

1. 製品を提供する「デジタルショールーム」であるウェブサイトMOM(Maison & Objet and More)と、「デジタルトーク」を通してコンテンツとインスピレーションを提供するウェブサイトMaison & Objetという、多様な専門分野を網羅したプラットフォーム。これらのデジタル空間を通して、皆様のリサーチを支援し、創造性を高め、リテールやトレンド予測に関するバーチャルセミナーによってインスピレーションを与え続けています。そして今後は、展示会の期間中や年間を通じて、「バーチャル」なライブイベントやウェビナーを開催したり、リプレイ配信や無制限のアクセスといった独占的なサービスを提供していきたいと考えています。

2. ニュースレター、製品セレクション、オンラインマガジンなど、すでに提供していたサービスをパーソナライズすることで、シーズンを問わず読者に情報を提供し、インスピレーションを与えることができます。そこで今取り組んでいるのが、データキュレーションです。オンライン会員であるビジターやブランドのニーズに関するデータを収集し、それぞれに合わせた製品の提案を行います。

3. マーケットプレイスは、中心企業が仲介する従来の「マーケットプレイス・リテール」型の取引を必要とせず、商品を見つけ、交流を促進するためにブランドとの直接的なコンタクトを重視します。そして現在、ブランドに直接発注できるシステムの可能性を模索しています。

新しい「Work! Space」のセクションでは、仕事のための環境にフォーカスしています。世の中が大きく変わり始めた中で、仕事の空間だけでなく、生活空間についても見直されています。この「Work! Space」は今後、どのように進化していくのでしょうか?

PB:2019年以降、仕事の環境はデジタル化され、よりオープンなものになっています。この社会の進化に対応するべく、私たちはこの分野に大きな可能性を見出していました。そして、この新たな動きを展示会で印象づけたいと考えたのです。

すべての生活空間が最近の変化に影響を受けており、共有スペースやオフィス、ホテル、そしてもちろん家庭の環境を再び作り直す必要があります。

仕事の環境に大きな変化が現れている中で、次の2021年1月の展示会では「Work! Space」を「仕事の空間を改革するための場」と位置づけ、危機の時代に生まれたクリエーションをライブと物理的空間で紹介していきます。

ペクレールのホーム・エンバイロメント&デザイン部 チーフデザイナーであるパトリシア・ボーソレイユ(Patricia Beausoleil)によるセミナー「Nature Muse – Open up to an ecological enchantment」が、メゾン・エ・オブジェのデジタルトーク内で公開されています。M&O digital talks のサイトよりご視聴いただけますのでぜひご覧ください。

カテゴリー: 展示会