ユナイテッド・ネイション・オブ・ファッション(ファッションの国際連合)

ファッション産業が目指す多様性、インクルーシブ、エシカル、サスティナビリティが、2020年LVMHプライズでも中心的テーマとなっています。8人のファイナリストたちが、フォンダシオン・ルイヴィトンで発表される第7回LVMHプライズの最終選考に進みました。ペクレール・パリのデザイナー、マリー・ドーシェが、中でも注目のデザイナーたちを紹介します。

ペクレールが注目するデザイナーたち

ピーター・ドゥ

フィービー・ファイロやデレク・ラムの元でデザインを手がけていた、ベトナム人デザイナーのピーター・ドゥは、2018年に自身のブランドを立ち上げました。オンラインで出会った友人たちと共に、インターネット上でローンチしたウィメンズコレクション。そこには共通の目標が掲げられています:ニューヨーク市での服の製造を復活させ、地元の職人技術や生産、本物感、サスティナビリティを支援すること。そして若さと思いやり、ラグジュアリーを集結させた創造的なコミュニティを育むこと。

ブルータリズムのムードを帯びた構築的、あるいは非構築的なスーツやドレスは、スケッチから生まれたものではなく、取り外し可能なパーツでボディを覆い、フィットさせたりドレープを入れたり、素材のレイヤードや対照的なテクスチャーによってデザインされています。シャープなカッティングのブレザーからは、力強いシルエットで知られるヘルムート・ラングやジェフリー・ビーンの影響を見て取ることができます。マスキュリンな空気感を持つドゥーの服は着心地が良く、女性に自信を与えます。

スプリヤ・レーレ・バイ・スプリヤ・レーレ

2019年のロンドンファッションウィークで初めてコレクションを発表した、インド系イギリス人デザイナーのスプリヤ・レーレは、異文化ミックスのルーツを誇る女性たちの代表的存在。ブランドを立ち上げた2017年より、自身が持つ西洋と東洋のアイデンティティを追求し、カラフルでセンシュアルな服を生み出してきました。斬新なギャザーを施した透け感のあるドレスなど、その独特のアシンメトリーなシルエットには、ドレープ感、伝統、サリーの生地、90年代のアスレジャールックを彷彿とさせるボディコンシャスなアイテムがミックスされています。

相反する要素を大胆に融合するこの若手デザイナーは、彼女のバックグラウンドであるインドの影響と、ヘルムート・ラングに代表されるミニマリズムに深く根付いた「新しいラグジュアリー」を生み出しました。彼女の持つ2面性を見事に表現するポエティックなアプローチは、従来の素材使いやシェイプ、構造から解放され、まるで「さなぎ」のようなシルエットを作り出しています。

プリヤ・アルワリア - アルワリア・スタジオ

既存の方法にとらわれない彼女のコレクションによって、この若い世代が余剰のファブリックや古着を使い、環境に優しく魅力的なファッションを生み出せることが明らかになりました。2018年に自身のブランド、アルワリア・スタジオを立ち上げたデザイナーのプリヤ・アルワリアが目指すのは、「モザイク」のような服を作ること。インドとナイジェリアにルーツを持つ彼女は、リサイクルファブリックのパッチワークによって、文化や時代、プリント、素材をランダムに結びつけたスポーツウェアやリラックス感のある服を生み出すことをテーマに掲げています。

オープンな感覚を持つアルワリアは、90年代のレイブカルチャーやデザイン、彫刻、映画をインスピレーションに服作りをしています。フリース素材のジャケットやセーター、切り替えパンツ、スポーティなウォームアップパンツやジップアップトップには、大胆でミスマッチな異素材使いやファブリックのレイヤードが取り入れられています。古着やアップサイクルされたガーメントを使用し、ファッション産業をエシカルでサスティナブルなものに革新しようとしているのです。これこそが、異文化と異世代が融合するライフスタイルを反映したファッションと言えるでしょう。

シャラフ・タジェル - カサブランカ

独学のデザイナー、シャラフ・タジェルは、2018年のブランド立ち上げ以前に、ストリートウェアブランド、ピガール・パリの成功に貢献してきました。地元のカサブランカで製造されたメンズコレクションは、モロッコでの幼少時代とそのミニマルでありながら装飾的な建築をインスピレーションにしたものです。

文化の豊かさと90年代の衝動に影響を受けて、タジェルはストリートウェアにテーラリングやシルキーなシャツ、エキゾチックなプリントを取り入れた華やかでキッチュ、シックな「アフタースポーツ」ルックや、レトロな雰囲気を帯びたパイル素材のウォームアップスーツを生み出しています。妥協のないスタイルで、ポップな色とロマンティシズム、ジャンニ時代のヴェルサーチェの影響を融合し、カッティングとファブリックにフェミニンなタッチを加えつつ、「着心地の良さと自由なエレガンス」を打ち出しています。