私たちが今直面している危機は、繊維産業にも大きな打撃をもたらし、過去数十年にわたり続いてきた成長を阻んでいます。

それから生じた消費の落ち込みや現状のシステムに対する疑念は、一部の人々にとっては有益かもしれませんが、一部の人々には破滅をもたらしかねません。

私たちの多くは今、考えることにほとんどの時間が割かれ、他のことが優先されて、ファッションは二の次となっています。しかしながら、「ファストファッション」を消費し続けることは、服の価値や質を下げ、労働条件を悪化させ、すでに私たちが経験しているような環境破壊やインクルーシビティの喪失につながります。

しかし、地域によってばらつきはあるものの、ゆっくりとした回復基調が見られており、ヨーロッパだけで見ると、2023年にはコロナ以前の数値まで回復すると言われています。

81%: 2020年における、世界全体の繊維産業の利益の減少率(対2019年比)

マッキンゼーによるレポート、2020年

弱体化しつつも動き出したランジェリー市場

ランジェリー部門は、コロナ禍の影響を受けつつも、今では成長の起爆剤となっています。

+19%:2021年第1四半期のフランスにおけるアンダーウェアの売上高(3億1600万ユーロ)の対2020年増加率

カンターによるレポート、2021年

心強い数字ではありますが、4億3600万ユーロに達していた2019年の同時期と比較すると、27%の減少となっています。

ランジェリー部門を活性化するには?

ランジェリーブランドのデジタル化

この課題に取り組むため、ランジェリー部門はデジタル化による構造転換を進めています。

FLEUR DU MAL

GIRLS IN PARIS

インターネットで購入されるランジェリーのシェアは32%。2020年の同期は28%

カンターによるレポート、2021年

デジタルはますます重要な位置を占めるようになり、もはや補助的なものではなく、実店舗を補完する購買チャネルになりつつあります。マニフェストを掲げる企業やランジェリーにおけるDNVBの成功により、ソーシャルネットワークを通じて世界中の若い顧客を獲得することが可能になりました。

*DNVB (Digitally Native Vertical Brand)… デジタルネイティブ世代に対し、バーティカル市場において商品やサービスを販売するブランド。

ランジェリーが私たちのワードローブの中心に

デジタル化だけではありません。今日、ファッションの主要なトレンドは、ランジェリーやルームウェア、アスレジャーと密接なつながりがあります。

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RUBINA VITA MARCHIORI

ライフスタイルが多様化し始めたことにより、ワードローブの見直しが必要とされているのです。

自宅で仕事をするための服が必要になったことが、ランジェリー部門を発展させるチャンスをもたらしました。製品カテゴリーに変化が起き、曖昧になり始めているのです。ルームウェアがアスレジャールックに取り入れられ、ランジェリーが日常着や夜の外出着にひねりを加えるのです。

今、ファッションとランジェリーに求められる欠かせない条件は、快適性です。着心地が良く、快適であることが消費者にとっての優先事項となっています。衣服やアンダーウェアは、気分良く過ごすための手段であり、自分を大切にするための方法であり、美容と同じ「ケア」のひとつとなっているのです。

コロナ以前から 「フォーマルウェア」は減少傾向にありましたが、これまでの「ルームウェア」に非常に近い「コンフォートウェア」が重視され、大きく広がり、より洗練されたスタイルに発展しています。

「楽しむための服」:ランジェリーが願望の対象に

着心地の良さの追求に加えて、ランジェリーが魅力的なアイテムとして再注目されるでしょう。

服飾心理学の歴史的な基礎を頭に入れておくことが大切です。衣服は身体を守るという第一のニーズをカバーするものですが、それだけではありません。服を着ることは、自分を飾ることであり、自分を形作ることであり、自分を変えることであり、喜びであり、ゲームなのです。

Jhené Aiko

服を着る喜びとは、布地やプリントの色や肌触りが気分を高め、美しく装うことで見た目が変わり、いつもとは違う自分を表現することです。

ランジェリーブランドLove Storiesの大胆な創造性には目を見張るものがあります。このブランドは、万人受けを狙うのではなく、驚きや魅惑の瞬間を作り出しています。

また、ビスチェやコルセットのような「服の上に」重ねても、「服の下に」も着られるアイテムが復活しています。コルセットの伝統的な技術に基づいて作られたアイテムは、バストを強調し、忘れがちだった女性らしさを際立たせます。

女性らしさと誘惑

このようなデジタル化、快適性、願望といった概念に加えて、女性らしさや誘惑的な魅力が見直される新たな時代が到来しています。

CHANTELLE

OYSHO

女性たちは、自分の身体や親密さ、誘惑的な魅力について再定義しようと声を上げ始めています。新しい女性らしさの表現は、あるがままの自分を受け入れること、インクルーシビティ、女性のエンパワーメントを提唱する社会的変化と呼応しながら、ブランドにも自問自答することを迫っているのです。

この新しい価値観に沿った、革新的で刺激的な表現とは?

ブランドにとって、将来のチャンスと新しい女性らしさの表現とは?

ペクレールは、コンサルティングを通じて、消費者の新しいトレンドを読み解き、時代の流れを捉え、未来を想像することでブランドを支援しています。

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