ペクレールのファッションスタイリストであるアリス・デシデリ(Alice Desideri)が、彼女の経験とインスピレーション、趣味について語ってくれました。

私自身について

マルチなファッションデザイナーで、メンズからレディース、キッズ、インテリア&ライフスタイルトレンドブックからコンサルティングまで…あらゆる分野に取り組んでいます。

中でも得意なのは、メンズファッションとアクセサリー。

フランスとイタリア、2つの国・文化・社会的背景を持っています。時にクレイジーになったり、オープンマインドだったり…色々なものに順応できるちょうど良いカクテルみたい 😊

私の仕事とキャリア

卒業後は、ファッション業界で幅広い経験を積みました。例えば、Elleでのフォトスタイリング、ルブタン(レザーと接着剤のくらくらするような香り)でのPRと編集、ロンドンのスタジオ(ラグジュアリー系)と工場(少し不気味)など…。100%の確信を得るために、すべてを完璧にマスターしたかったのです。

そして私の夢は、トレンドを扱う仕事に就くこと…それも、何でもよかったわけではなくて…ペクレール・パリだったんです!

なぜかって?この業界で一番面白いからです。別にペクレールに言わされているわけではありません、私の心からの言葉です。

とにかく退屈している暇がないんです。「前菜、メイン、デザート」のように次々と新しい発見があって、Rue du Mailにあるオフィスで7年間過ごした今でも、常に新しいことに挑戦しています。

私たちの仕事を理解してもらうのはなかなか難しいです。中には私たちのことを、サテンのターバンを巻いた(もちろんパリジャンらしく、ラグジュアリーなエルメス!)、頭のおかしい占い師のように見る人もいます。 確かに、私たちのアプローチは直感的・感覚的なものであり、神秘的に感じられるでしょう。

しかしながらこの仕事は、社会学やマーケティング、クリエイションを融合したもので、社会における人間の複雑さや歴史を理解するものです。メインストリームからアンダーグラウンドなものまで、すべてを受け入れて、それらの意味や価値を分析し、次にどのような進化を遂げるのかを考え、最終的に美的表現へと変換するのです。

元々、私は政治学を学んでいましたが、その後、ファッションの学校に移りました。そして、分析や厳密さの中に創造性を織り交ぜることを心掛けてきました。これはとてもやりがいのある挑戦でした。

つまり、社会学と壮大なストーリーテリングの融合です。そしてこれこそが、ペクレールと協業するブランドが求めているものだと思います。

この仕事は、論文を書くことにも似ています。ですが、色や素材、形、ポエトリーを使った論文です。研究すべき課題に対し、私たちは3つのポイント、いえ、3つの美しいストーリーを通してその課題に答えるのです。

そして私たちは、クライアントのニーズやブランド・アイデンティティ、リクエストに即した提案を行い、サポートします。

もうひとつの大きな課題は、批判されがちなファッション業界に意味と価値を取り戻すことです。私たちは、より明快で確実に、しかしながらユーモアや透明性、美的感性、明るさを持って取り組まなければなりません。

社会的・経済的・環境的に、よりエシカルなファッションを目指し、力を合わせていきたいと思います。そう、夢を描くこともこの仕事の一部ですね。

私の生活

「手と頭」なんて、スリラー映画のタイトルにぴったりでしょう?そう、余暇には、靴作りやレザークラフトに励んでいます。これは本当に楽しい!

実際に、手作業と脳の活動は常に一緒に進行しているみたいで、とても気分がいいんです。

その他にも変わった趣味があります。デモや集会に参加して催涙ガスを浴びること、映画(何でも観ますが、ジャッロ(*)が多いです)、一人旅で恐る恐る裏道に踏み込むことと偶然の出会い(Francisco Salamoneのアールデコ建築など)、バスや電車、バイクに乗って何時間も何時間も過ごすこと、本を読むこと(今はエドワード・ホールの「かくれた次元」を読んでいます)。ライブで鼓膜を傷めつけたり(今はグルジアのトリオ・マンディリの曲「Kakhuri」)、議論の的となった政治家の胸像を集めたり、自然の中を何キロも歩いたり、ベンチで知らない人とおしゃべりしたり、新しい味覚に驚いたり、地方のオークションをうろついたり、INA(フランス国立視聴覚研究所)のアーカイブを観ながら山積みのアートブックを読んだり…。

私のインスタグラムはこちら @_elettrapage_

*ジャッロ…イタリアの20世紀の文学・映画のジャンル。フランスの幻想文学、犯罪小説、ホラー小説、エロティック文学にも密接にかかわりがある。

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