イェール国際モード&写真フェスティバルの創設者であるジャン=ピエール・ブランは参加型のデザインを推進し、自由な創造性を支援しています。そしてこの35年間、新世代のデザイナーに対する認識を変え続けてきました。
フェスティバルの開催を2020年10月15~19日に延期し、ライブで行うことを発表しましたね。この選択は何を意味しているのでしょう?また、組織やイベントの今後に何か影響はありますか?
ジャン=ピエール・ブラン(JPB):ロックダウンが発表された週末に、「命を守る」ために延期を決定しました。なぜなら、ライブでのショー抜きでの開催は考えられないからです。私たちはどうなるかわからないまま、2ヶ月をかけて、公式パートナーや国からの資金と援助を募りました。しかしながら国際的に名が知られていいても、私たちのエコシステムはローカルに留まっており、その構造が脆弱であることを実感しました。
この先の状況によって変わりますが、それぞれの部門の審査員長が変わることはありません。ファッションはジョナサン・アンダーソン、写真はパオロ・ロヴェルシ、ファッションアクセサリーはユベール・バレール、そしてエマニュエル・マクロンの参加も検討されています。大統領の参加は、私たちの使命である「公益」と若いアーティストの支援を象徴します。そして未来に賭けること。このフェスティバルの原動力は未来に向かい、創造的なエネルギーを増幅させ、若いデザイナーとプロフェッショナルをつなぐのです。
これまでにもライブワークショップのようなデジタルイベントを開催するなど、インターネットを積極的に活用していますが、ファッション・ウィークのような「総デジタル化」を目指しているのですか?
JPB:この経験は、私たちの創意工夫を刺激しました。そして幸運なことに、コミュニティが私たちをフォローし、広めてくれました。これによってアーティストに報酬をもたらすライブワークショップを開催し、ファッション、デザイン、写真、建築だけでなく、様々なクリエイティブな分野の才能を広めることができたのです。毎月開催されるこれらのイベントが拡大していくのはとても嬉しいです。とはいえ、「物理的な」イベントは残しておきたいですね。すべてをデジタルに置き換えることはできません。
電子機器が今やコミュニケーションに欠かせないものだとしても、私は集うことやファッションショーの魔力を信じています。コレクションのプレゼンテーションにおいて、デザイナーやモデル、メイキャップアーティスト、音楽、場所、空間演出を省くことなどできません。これらは、デジタルでは味わえない感動を呼び起こすコミュニケーションなのですから。
ファッションショーと、私たちが主催する会議とセミナー「レンコントレ」はこれからも維持していきます。私にとってこのフェスティバルは、意味とつながり、新たな交流をもたらすアクティブな時間なのです。そして若いアーティストたちに、商業的な報酬にとらわれず、リスクを恐れずに挑戦し、革新的で先見的な提案をしてもらうための最も良い方法でもあります。
先ほど、若手デザイナーについて触れましたが、クリエーションの未来をどのように見ていますか?
JPB:若い世代のデザイナーが自信を取り戻し、リスクを取るためには、楽観的であることが欠かせません。指導やお手本の発信によって、参加型のデザインが生み出されていくでしょう。さらにはメジャーなブランドが行っているようなノウハウと職人技術、テクノロジーの相互作用が活性化するでしょう。
また、環境や社会、共同体、地域、公正な生産がプロセスに統合されていきます。イェールにおいて学生たちは皆、サスティナブルな未来のための解決策が必要であることを認識しており、エコロジカルで市民的な取り組みを当たり前のものとして捉えています。