しなやかで環境に優しいフランス製リネンが、綿に代わる優れた繊維として浮上しています。それは何故でしょうか?

リネン産業の復興について知るために、アルザシアン・テキスタイルグループのヴェルコレックス(Velcorex)社の社長 ピエール・シュミット(Pierre Schmitt)氏にお話を伺いました。ヴェルコレックスはここ20年間、中国でリネンの生産を行ってきましたが、シュミット氏は再びこの素材にまつわる環境の変化に注目しています。

写真:S Sandé

ノルマンディとフランドル地方で毎年11万トンを生産するフランスは、世界最大のリネン生産国であり、その80%が中国で紡績され、ヨーロッパに再輸入されます。

2020年にヴェルコレックスは、世界的なリネン会社NSCシュルンベルジェ(NSC Schlumberger)とパートナーシップを組み、そのグループ会社の一つであり、先染め染色と製織の会社 エマニュエル・ラング(Emmanuel Lang)内に専用の紡績工場を設立しました。

何故、リネン産業を復興しようと思ったのですか?

ピエール・シュミット(PS):ファッション産業の製造者として、私たちはこの重大な環境危機に対抗する行動を起こさなければなりません。リネンは環境に配慮した、革新的なテキスタイルです。

生分解性の天然素材というだけでなく、窒素の使用が少ない(つまり硝酸塩肥料による汚染がない)、また使用する農薬や殺虫剤、水の使用量も少ない(綿で1本のジーンズを作るのに8,000~10,000リットルの水が必要)。また、リネンは通気性が良く気温調節機能があり、軽量で丈夫な素材であり、アレルギーを起こしにくく、抗菌性もあります。

どのような形で環境に配慮した製造を行っているのですか?

PS:フランス国内での製造に戻りつつあります。今多くのブランドや製造会社、消費者が求めているように、製造工程の地域を狭めることとトレーサビリティが重要です。私たちの作るリネンは、炭素排出量と環境負荷を最小限に留めています。そしてこのエコシステム内で、農地の作物がガーメントとなるまでの過程を追跡できることが、一層環境を守ります:私たちの工場は、オーラン地方ミュルーズの南にある村、イルサンギュにあります。

この未加工の素材は、ノルマンディで育てられ、輸送されてきます。私たちは水の使用を極力抑えた乾燥製法で繊維をほぐし、ゴミを取り除き、毛羽を焼いた後に紡績し、生地を織ります。この環境に優しく高度な仕上げにより、品質の高い繊維が作られるのです。

どのくらいの生地が生産できますか?

PS:私たちの生産目標は控えめです。1年に約150トン、つまり50万~70万平方メートルの100%フランス製リネン生地が生産できます。

まもなく私たちはリネン100%のジーンズの製造を始めます。150トンの繊維で12万本のジーンズを作ることが出来ます。フランスでは毎年8,500万本のジーンズが販売されていますから、市場は十分にあるでしょう。

今目指しているのは?

PS:何ヶ月もリサーチを重ね、綿と同じくらい柔らかく、もっと光沢があり、丈夫なリネンを作ることに成功しました。パンツやインテリアファブリック向けに、さらに太い繊維を目指しています。

また、ハイエンドなブランドやフランスの若手デザイナーから、リネンとウール、ケブラー、シルクを混紡したいという要望ももらっています。このことからもわかるように、リネンという素材はますますハイブリッドになっていくことでしょう。

今、人工的なものを排した未加工の素材に回帰する動きが現れています。リネンの再評価もその1つです。そしてその慎ましやかなエレガンスや安心感を与える質素さに注目が集まっています。