今、これまでにない混乱に見舞われると同時に、多面的な女性らしさが支持されています。デザイナーやブランドはこの変化する行動様式に合わせ、個性を尊重しながら、長持ちする本質的な服を生み出さなければなりません。

実用性やサスティナビリティの必要性が高まると同時に、現実逃避の願望が強まっています。2022年春夏シーズンは、これらをどのように優先させるべきなのでしょうか。また、女性らしさを多様に表現する、創造的でありながらリアルなワードローブを作るバランスとは?ペクレールのファッション&スタイルディレクター、エリザベス・プラットがこれらの疑問に応えます。

私たちの行動が大きく変わる中で、多面的な女性らしさの表現が、服の着こなしにどのような影響を与えるでしょうか。

エリザベス・プラット(EP):ファッションは、私たちが経験していることを反映するものです。このコロナ危機は、私たちの服への欲望とニーズに長期的な影響を与えることになるでしょう。選択する時、あるいは必要に迫られた時、それが一過性のものかどうかを私たちは感じ取っています。

そして、刹那的なトレンドに合わせた服や、「ワンシーズン」だけの服を買うのではなく、考え抜かれたタイムレスなアイテムが選ばれていくでしょう。しかしながらこれは、極端に質素なものが求められるということではありません。「コアなベーシック」は、あまりにも退屈で窮屈であり、満足感をもたらしません。

画像:ペクレール・パリ

力強く多面的で、遊び心のある女性らしさが支持されることは、今後も変わらないでしょう。今、本質回帰による快適さや安心感と同時に、「現実を一時停止」するための逃避願望も高まっています。そこで「装うこと」によって変身し、それぞれの個性を強調し、驚くような独自性を発揮するのです。

どのようにして、服に快適さを取り入れたら良いのでしょうか?また、女性らしさを表現する余地は、どのくらい残されているのでしょうか?

EP:この困難な時期を乗り越えた後には、身体的・精神的な快適さの両方をもたらす服が必要です。自宅で過ごす時間が増え、社会的な制約から解放されることにより、服には快適さと親近感が求められます。特にリモートワークの広がりによって、オフィスウェアの概念はますますフレキシブルになっていくでしょう。

このように穏やかなシンプルさが求められる中で、女性らしさはより柔らかに表現されていきます。カジュアルなコクーンシェイプというよりも、柔らかくセクシーなボディラインを描く、気軽で心地良いニットウェア。

あるいは、キモノのように着こなすオーバーサイズメンズシャツといった、明確で量感のあるシェイプ。

ウェルネスや「ボディポジティブ」への意識の高まりによって再び注目されるアスレジャートレンドは、どのように進化しますか?

EP:ロックダウンにより、スポーツをする人が増えています。そして復活するアスレジャーは、屋外と屋内での日常生活に適応するボディコンシャスなシルエットになります。

例えばフェミニンなスタイルは、スカーフやビッグシャツ、ジュエリーで装飾したボディコンシャスなダンサールック。

あるいはプロテクションと快適さを融合したパワフルなスタイル。ストレッチの効いたセカンドスキン素材を組み合わせた、マルチポケットのアーミールックです。

シックなスタイルには、スウェットのジョギングルックにハイヒールを組み合わせます。

気軽で軽く、様々な組み合わせが可能で、生活のあらゆる場面に適応し、昼にも夜にも着られる服が求められます。服を着ることで女性たちは力を得るのです。

画像:ペクレール ・パリ

服にはどのように、現実逃避の願望が反映されるのでしょうか?そして、どんなふうに女性らしさが表現されるのでしょうか?

EP:服には私たちを変貌させ、旅へといざなう力があります。そしてロックダウン中もその後も、日常生活の制約から解放されたいという欲求に応えます。例えば、ボヘミアンな豊かさやクチュールの豪華さのように、自由で華やかな創造性によって、服はセンシュアリティを増し、女性らしさを表現します。カラフルで装飾的なアイテム、プレシャスなシルキー素材、ジュエリー、アクセサリーなどを組み合わせます。あるいは、一つのシルエットの中に正反対の要素を取り入れて誘惑的なムードを強調したり、装飾したり、その自由な感覚をアピールします。

この夢のようなミックス感を実現するために、アイコン的なビンテージアイテムや華やかなクラシックアイテム、80’sデザインが継続するでしょう。「選択する」ことによって、個性を打ち出します。そして従来のような常に新しさを求める風潮は廃れていくでしょう。

長持ちするシンプルさ、快適さ、品質を確保しつつ、驚きや輝き、グラマラスなタッチを加えることが、多様化する女性らしさに対応する最適な方法となるでしょう。