自然な姿ではない、フィルターをかけた合成のイメージが何百万人ものフォロワーの目に触れるインスタグラム時代に、自分とその身体に誇りを持ち、理想の美の基準を壊したいという人々が現れています。ブランドもこの新しい考え方に影響を受け、インフルエンサーや文化、ニーズ、時代に即した、普遍的でインクルーシブ、全ての人に有益な美とは何かを考え始めています。

このムーブメントの先駆者と言えるのが、90種類の肌色のファンデーションを提供するフェンティ・ビューティのプロデューサー、リアーナ。リアーナは2018年、求められ始めていたインクルーシビティを支持し、多様性についての議論を呼びました。肌の色のみならず、従来の美の基準に囚われることなく、それぞれの個性を引き立てることをコスメブランドに投げかけたのです。その後、ディオールやMACなど多くのブランドが、この考え方に賛同してきました。最近ではY世代やZ世代に後押しされ、化粧品会社は男性向けのメイク製品を提供するなど、さらにインクルーシブで普遍的な美の価値を模索し始めています。

ジェンダーと年齢で区分する従来のマーケットが崩れ始めるとともに、新たな動きが生まれています。

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社会から押し付けられた美のルールから解放されたい、という願望が強まる中で、化粧品産業もジェンダーや年齢に囚われない人々の価値観に合わせ、その基準を考え直さなければなりません。

これらの新たな影響の広がりと共に、ブランドも従来の方法に留まらず、さらに多様なアイデンティティの表現をサポートする必要があるのです。

新しいユニバーサルな美しさ

「違い」を打ち消すのではなく、自撮りやジェンダー・フリュイド(性の流動性)、シニア世代など、新たに広がるライフスタイルに合わせてマーケットを見直さなければなりません。

例えばNGS(ノン・ジェンダー・スペシフィック)は、誰もが使えるエブリシング・セラム(多目的スキンケアエッセンス)を販売しています。

また、Glossierの創業者エミリー・ウェイスは、ブランドの成功の秘訣をこのように語っています。「全ての人に向けた私たちの製品には、ユニバーサルなメッセージが込められています。それぞれの人が自分自身の一番の理解者、つまりエキスパートであり、私たちはただ、彼らに自由とパワーを提供しているのだけなのです。」

Glossier.com

多様でインクルーシブな美の広がりによって、全ての消費者世代が「美のルール」を拒み始め、自分や他者へのケアもよりシンプルに変わり始めています。

そして「次世代」ブランドは、新たに浮上するニーズに応えるため、恐れることなく既存のマーケットを揺るがし始めています。

Malin + Goetzの創業者は、カップルをはじめとする生活を共にする人々が、一緒に使えるニュートラルなスキンケア製品を生み出しました。様々な年齢、性別、肌の色を持つ個人とそのグループに分け隔てなく、充足感をもたらすことをブランドの使命としています。

Plenaire は、若い世代に向けてインクルーシブで魅力的な製品を作るためにスタートした、エシカルなスキンケアブランドです。科学に基づいた多くのスキンケアブランドとは異なり、Plenaireは感情に訴求するウェルビーイングとセルフケアを打ち出しています。若者向けのDtoCブランドとして生まれたPlenaireは、手頃なラグジュアリー感とスキンケアへの現代的で集約されたアプローチによりZ世代をターゲットにしつつも、全ての人を包括するユニバーサルな魅力を放っています。

plenaire.com
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