ペクレールのイヴォンヌ・デ・ブロイン(Yvonne de Bruyn)が、2023年2月のプルミエール・ヴィジョンをサステナビリティの視点から分析します。

サスティナブルは、ネクストノーマル(*)です。川上では、テキスタイルの分野で変革への取り組みが進んでいます。製品デザインにとどまらず、環境管理が最も重要です。例えば、農業廃棄物から作られたセルロース、天然染色の工程、生分解性ストレッチ素材、動物福祉、ポリエステルに代わる廃棄物系バイオマス・エコポリマーなど、今後の規模拡大が期待される進歩が見られます。

* ネクストノーマル=ニューノーマル。社会の大きな変化により、新しい常識や生活様式が定着すること。

1. 新世代のセルロース

2. 従来のものに代わる染色

3. 動物福祉

4. 従来のものに代わるストレッチ素材

5. バイオベースポリマー

1. 私たちが廃棄するもの、私たちの未来:新世代のセルロース

現状:

•品質と吸収性に優れたコットンは、全世界の衣料品生産の33%を占めている。

•しかし、綿は最も汚染度の高い作物であり、その栽培における農薬使用量は世界全体の10~20%に上る。

•2,720リットルの水:Tシャツ1枚の製造に必要な水は、平均的な人が3年間で消費する飲料水の量に相当する。

•衣料品に使用される生地のうち、最終的にリサイクルされるのはわずか12%で、1秒間にトラック1台分の衣類が埋立地に捨てられている。

•資源の循環、そしてリサイクル可能な素材や生分解性の素材を使用することが、ファッションの未来にとって重要である。

進歩したこと:

•食品産業の副産物を原料に使用することが、新しい資源の可能性を開き、循環への足掛かりを築いた。

•オレンジの繊維、ブドウの皮、コーヒーかすなどの廃棄物が、バージン・セルロースに代わる原料となっている。

•これらの多様な資源の多くは、雨水を利用し、農薬や肥料を必要としないため、耕作地への負担を軽減する。

•また、農業廃棄物を回収することで、焼却や埋め立てを回避できる。

例:

•パイナップルの葉の繊維を抽出したPinayanとPinacell

•Agraloopは、バナナ、ヘンプ、リネンから抽出したセルロースパルプを原料とする。

•Frutfiber™は、竹由来のリヨセル、パイナップルの葉、バナナの木の混紡繊維。

•成長が早く再生可能な植物繊維で構成されたPlntfiber™

2. 私たちが廃棄するもの、私たちの未来:従来のものに代わる染色

現状:

•衣料品産業による水質汚染が、世界全体の20%を占める。

•1キロの生地を染めるのに、平均80〜100リットルの水が必要であり、さらにその過程でエネルギーも消費する。

•しかし、染料は使用された量の80%しか衣服に付着しない。残りの20%は水路に流され、その量は年間4万トンから5万トンにものぼる。

•そのため、代替となる環境に優しい染料を、工業的に利用可能にすることが重要である。

進歩したこと:

•より環境負荷の低い染色製品を開発するために、天然原料が様々な選択肢を提供する。例えば、果物や花を使用する植物ベースの工程は、有毒な媒染剤を必要とせず、さまざまな色で染めることができ、堅牢度も高い。

•FSC認証を受けた持続可能な森林から出る木屑を使った、黒色コーティングのための木性顔料は、廃棄物ゼロの方法で製造される。

•革新的なバイオマニュファクチャリングでは、微生物の働きやDNA複製技術を顔料生産に応用する。

例:

•食品からの顔料抽出は古くからある方法であり、テキスタイルの大規模な生産が次の課題である。

•新しいプロセスでは、野菜や果物、その他の食品廃棄物から顔料を生成する。

•また、微生物の発酵が色の触媒となる、新世代の染料への期待が膨らむ。

•Colorifixは、農業副産物の発酵を利用し、色の触媒となる酵素を持つ微生物の働きで染料を作る。

•Officina +39のRecycromは、無害な天然の溶剤を含む革新的な技術により、繊維くずやリサイクルされたテキスタイルから染料を抽出する。綿、リネン、ウール、人工皮革、ポリアミドなど、さまざまな素材に対応。さらに、これらの染料はろ過しやすいため、排水の浄化性能を大幅に向上させた。また、鮮やかな発色も実現している。


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