ファッション、ビューティ、デザイン、ライフスタイル…どのブランドにとっても色は、人の無意識に訴求し、時代を反映する重要なテーマです。

ギャラリー・ラファイエット・グループのBHVで、長年トレンドとブランドのディレクターを務めてきたヴァージニー・モットと共に、色が私たちの行動に与える影響や、この不透明な状況下で不可欠な直感と創造性、感覚を解き放つ方法について考察します。

ここ数シーズンを経て、今、ブランドがコレクションを制作する際の色の使い方にどのような変化が見られますか?

ヴァージニー・モット(VM):色は、その使い方次第で効果を発揮します。装飾において色は、プロポーションを形成し、空間を変化させ、建築に影響を与え、光の効果を左右します。陰影や色の組み合わせにより、オブジェや表面効果を通して、ストーリーをより深く語ることができるのです。

写真:@lemaraismood 

今、私たちが経験している新しいライフスタイルは、マルチタスク化や生活空間の非区分化など、既存のトレンドを加速させるでしょう。色もそれに合わせて、明確な区分がなくなり、よりソフトになります。

私たちが経験したこの激動によって、色との関係が変わるのでしょうか? また、それはどのように表れるのでしょうか?

VM:色に対する考え方が根本的に変わることはないと思います。この非常な出来事によってさらに穏やかさや優しさ、本物感への願望が高まるでしょう。「隠れ家」のような価値が求められているのです。そこでエクリュのようなナチュラルカラーが存在感を放ちます。また、ミネラルトーンやウッディトーンが永続します。しばらく表舞台に出てこなかったピンクなどの色は洗練された空間だけでなく、生活空間にも戻ってくることは間違いありません。

環境意識の高まりによって、行動も変化するでしょう。消費者は、色がどのように作られたのかを知りたいと望み、特に子供用品には、草木染めのような化学処理を最小限に抑えた製品を選ぶでしょう。

今、私たちはマスクで顔の一部を覆っていますが、色は、私たちの個性や気分を表現するものになるのでしょうか?

VM:私たちは色を選ぶことによって、パーソナルなメッセージを表現します。そして、この動きはさらに顕著になるでしょう。衣服は快適さが優先され、「社会的アイデンティティの象徴」としての機能が失われます。そこで色は、目立ちたいという欲求、あるいは反対に人目につかず隠れたいという願望を叶える役割を果たします。そして、冒険や決意を打ち出すワントーンのように、ハイブリッドな新しい文化的アイデンティティが生み出されます。

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近い将来には、コントラストの強い、目立つ高彩度色が必要とされていくでしょうか?それとも逆に、控えめで本質的な色が求められるのでしょうか。

VM:新しいエネルギーを解放するために、色がファッションだけでなく、装飾やデザインの分野でもこれまで以上に必要とされています。すでにマルチカラーの組み合わせが広がっており、自由で大胆に挑戦しようという意欲が高まっています。

 そして色は、より強く高彩度になり、強いコントラスト配色、あるいは反対にオーセンティックな方向に向かいます。一般的には、色がニュアンスを帯びます。また環境意識の高まりにより、地域特有の色と意外なトーンの新しい組み合わせが生み出され、色に対するより自由で柔軟な感覚が広まっていくのではないでしょうか。

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