先行きが見えない中で、ファッションブランドを作る「正当な」理由とは?シャーロット・リンネア・ビョークルンドによるブランド、リンネア・ルンドの例を取り上げます。

ファッション業界で10年以上のキャリアを積み、イタリア各地でテキスタイルメーカーと仕事をしてきたスウェーデン出身のシャーロット・リンネア・ビョークルンド。2019年に、世代を超えたタイムレスなカシミアセーターと小物のブランドを立ち上げ、長く使えるエシカルな製品をデザインしています。

ブランドを形作る信念

今、既存のシステムを改革する必要があります。再び基本に戻るのです。例えば創造性、製造にかかる時間を尊重すること、工芸技術の再評価、近接性、サスティナビリティ、倫理など。そのためには、機敏に対応できるビジネスモデルや、厳密に管理された生産・流通チェーンを採用し、誠実に私的なストーリーを語ることが不可欠です。

サスティナブルで永続的なブランドのエコシステム(生態系)を構築する方法とは?

本物のパーソナルなブランディングとストーリーテリング

愛と共感に溢れる本物のメッセージを伝えるために、私的なストーリーを直接語ること。家族や友情の思い出を、世代を超えるインクルーシブなコミュニティと共有します。セーターやスカーフ、カシミア製の小物を通して、未来に残したい美しさと品質、希少性に対する思いや、これらの製品が喚起する感情を伝えます。

感情を掻き立てる製品。シャーロットは実母と養母のためのカシミアのスカーフをイメージし、リンネア・ルンドを立ち上げることを決めました。シンプルでコーディネートしやすく高品質でありながら、ラグジュアリー製品にありがちな敷居の高さを感じさせない、限定のコレクションを展開しています。

シャーロット自身のストーリーを反映するブランド名。彼女の家系の女性たちに与えられたミドルネームと、グループやコミュニティ、部族を表す言葉「ルンド」から取られました。そのユニセックスな製品の制作過程では、コミュニティに試着を依頼したり、その意見を募ったりしています。

ブランドの存在意義、ビジネスモデル、近接性と流通

理にかなった生産、より少なくより良いものを作ることに徹した丁寧な仕立て、ノウハウ、遺産、継承に基づくブランドの存在意義は、現行のファッション業界のシステムに代わる方法が可能なことを証明しています。

責任ある成長の上に築かれたビジネスモデル。マージンを最小限に抑え、ラグジュアリー製品を手頃な価格で提供できるようにeコマースやマイクロリテーリングを採用し、伝統的なリテール戦略を回避しています。

近接性とノウハウの蓄積が、開発戦略の中心を担います。イタリアの紡績工場で紡がれたカシミア糸は、そこから15キロ離れた家族経営のニット工場で編まれ、製品が少量生産されています。

厳密な生産数の管理と予約販売。それぞれの製品はオンデマンドで生産され、品質管理責任者であるシャーロットの母親によりラベルが縫い付けられて、仕上げられます。

サスティナビリティ、透明性、ケア

天然資源、人、動物を尊重し、社会的・環境的価値を育み、すべてのパートナーと目的や収益を共有しながら、ブランドを構築しています。

画像提供:linnealund.com

モンゴルの動物のトレーサビリティーと透明性を確保しつつ、全てイタリアで製造しています。そして消費者は製品の履歴を知り、意識的に購入を決定することができます。

また、イタリアの高級テキスタイル会社のジャガード端材を使用したリンネア・ルンド製品のパッケージは、障がい者に仕事を提供する非営利団体ACDとのコラボレーションによるものです。