かつてない社会の変化と新しい生き方、そして働き方。オフィスから店舗まで、生活空間のデザインやレイアウトは、いかに人間的な面を優先するかが問われています。モジュール性、フレキシビリティ、持続可能性は、現実とバーチャルにおける「共生」を新たなものに変える鍵となるでしょう。

フランスとインドにパートナーを持ち、多分野・多文化な活動を行うエニア・アーキテクツの共同創設者であるマチュー・シャゼルが、この問いに対するいくつかの答えを提示しています。2003年以来、エニア・アーキテクツは、優れた発明と科学を交差させつつ、現実的で誰もがアクセスできる知的で明確な建築を作り出してきました。

画像提供:Enia.fr ― ポワンタピートル国際空港

私たちの行動や習慣が変わり、共有スペースを見直す必要があります。職場のレイアウトや設備、デザインなどの変化について、どのように捉えていますか?

マチュー・シャゼル(MC):現在の健康危機は、ワークスペースを手掛けるデザイナーたちの確信を揺るがしています。

明日、感染拡大を防ぐためにアクリルのパーテーションで仕切り直しをしなければならないとしたら、オープンフロアの利点でもある交流や一体性といった機能はどうなるでしょう? フレックスオフィス(従業員のニーズに合わせてレイアウトを変えられるオフィス)は? 自分に割り当てられた場所に留まり、1日4回の消毒をしなければならないとしたら?

ラ・デファンスのテーブルスクエア ― 写真:E Paillard

その答えは適応性にあります。多機能であることが求められる、私たちの生活空間が起点となります。住まいは、家族内の混乱を引き起こしたり、在宅ワークを妨げたりすることなく、そのすべての居住者を受け入れる必要があります。私たちは現在、家族構成の変化に合わせて広げたり、縮小したり、あるいは完全にビジネスのための空間に変えることもできる40戸のフレキシブルな住宅を試験的に開発しています。

店舗などの公共空間も、もう一度見直される必要があります。新たに課せられた制約を尊重しつつ、空間に新たな魅力を与えるためには、どのような方法が考えられますか?

MC:消費の場や店舗の用途は何か、そしてそれらの空間と私たちの関係性を考えなければなりません。中心市街地の再活性化に向けて多くの努力がなされ、毎日の車の移動がもたらす環境コストを測定しなければならない時代に、周辺部の商業地区への集中はまだ意味があるのでしょうか?

ニースのガール・デュ・スュッド ― 写真:Milène SERVELLE

近い将来の実用化に向けて、私たちは市街周辺地を物流ハブ化し、小型のクリーンカーによる都心の店舗への配達を可能にする研究プロジェクトを開始しています。その目的は、経済・社会・環境と多岐に渡ります。

避けて通れない問題ですが、都市のエコ・レスポンシビリティ(環境に対する責任)を具体的に考え直し、より多くの人に効果的で身近なものにしていくにはどうしたら良いのでしょうか。

MC:都市のエコ・レスポンシビリティは、人や車の流れに留まらず、不快さ(公害、騒音)の原因となり、莫大なエネルギーを消費する物質の流れとその制御の問題と密接に結びついています。

アルクイユの共同住宅

生物が何を吸収し、何を拒否し、何を生産するのかと同じように、今、「都市のメタボリズム(新陳代謝)」について考える必要があります。そのためには、場所の特性、必要とされる機能の表現、技術的要件、気候問題など、様々な側面を統合し、ひとつの首尾一貫した対応を提案しなければなりません。

アルジェのソシエテ・ジェネラル銀行本社

私たちは、家具から地域社会まで幅広い領域をカバーするエニアラボを通じて、これらの思考を共有しています。そして、エネルギーの最適化や快適性の実現、新たな利用法の開発により、私たちの生活環境にある急速な「陳腐化」に対抗したいと考えています。

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