オランダ・アイントホーフェンで開催される北欧最大のデザインイベント、ダッチ・デザインウィーク(DDW)。35万人以上の来場者を集め、2600名を超えるデザイナーの作品とアイデアを紹介するDDWはまた、才能ある若いデザイナーの作品にスポットを当て、育成に貢献しています。このイベントを通して、ペクレールは未来のデザインについて考察します。

ダッチ・デザインウィークは、長年にわたり、新しい声や才能に光を当ててきました。これらの声と才能を守り、育て、その考えを伝える場が必要とされています。DDWは、それに十分なエネルギーと空間を提供してきました。DDWはアイデアの祭典なのです。


2022年 DDWのアンバサダー、 フォルマファンタズマ(Formafantasma)の
アンドレア・トレマルキ(Andrea Trimarchi)とシモーネ・ファレジン(Simone Farresin)

Get Set… We‘re on a mission! 準備して私たちにはやるべきことがある

このスローガンが物語るように、今年のDDWは、今降りかかるあらゆる課題に備えることをテーマにしています。出展したデザイナーやスタジオからは、強い危機感と行動への願いが感じられました。行動を前に、この勢いが皆の心を奮い立たせ、一つにします。

今年のDDWを特徴づけたプロジェクトや作品は、「エンバイロメント&デザイン 24SS」トレンドブックの中心的なトレンドと重なります。ひとつは「ネイチャーズ・ワンダーランド自然のふしぎ)」というテーマで、自然からのインスピレーションと遊び心に溢れたアプローチです。そしてもう一つは、デジタルによって歪んだ様々な現実を描き出す「パーセプションズ・オブ・リアリティ現実の知覚)」というテーマです。

ネイチャーズ・ワンダーランド(自然のふしぎ)

遊び心に溢れた実験のように、自然から生まれたポエティックで穏やかな世界。植物や動物の特性をナイーブに再描写し、夢のような創造を導きます。

デザイン・アカデミー・アイントホーフェンの卒業生レオン・バーレLeon Barre)は、遊び心のある方法で模倣する「コピー・コピー」プロジェクトで、Melkwegprijs賞にノミネートされました。ワークショップでは、参加者にカップを「コピー」させ、それが恥ずべき行為でないことを体感させます。模倣することは、私たちが思うほど悪いことではないのかもしれません。

キキ&ヨーストKiki & Joost)は20年以上前からダッチデザイナーのセカンドウェーブの中心的存在で、故郷のアイントホーフェンで自由に創造性を発揮しています。カナルダーク近くのスタジオで開催された展覧会「ロー=レゾリューション(Low-resolution)」では、私たちの生活のデジタル化が進む中、ローテクなデザインと制作方法を披露しました。BYBORREやSommer Glassなどの企業とのコラボレーションによるプロジェクトは、ローテクな製造過程が、彼らの創造性を守る手段であることを示しています。

パーセプションズ・オブ・リアリティ(現実の知覚)

デジタル世界が創造性を刺激し、未来的なファンタジーが私たちの空間に広がっています。アジアのカルチャーに見られるように、古代の描写をデジタル技術によってシュルレアルに表現し、現実世界に謎めいたムードをもたらしています。

ベリー・ルウェリンBerry Llewellyn)による「ポリフォニー」ウォールデコレーションは、物質性を追求し、効率的で標準化された家の環境に疑問を投げかけます。硬い素材と柔らかい素材、合成素材と天然素材を組み合わせ、ひび割れや不完全さ、凹凸をそのまま生かしたユニークで自由なオブジェを作り出しています。

DDW期間中に見逃せない、Kazerneでの展覧会「マグネティック・モメント(魅惑的な瞬間)」は、私たちに憂鬱な現実を忘れさせ、デジタルの楽園での休息へと誘います。ユール・ヘーゲマイヤーJuul Hagemeier)の穏やかで催眠的なオブジェ、リヴ・ローシャンRive Roshan)の彫刻と反射するオブジェ、ルーカス・ジトーLucas Zito)による3Dプリントの「ブイ・ライト」など、心を落ち着かせる閉ざされた空間。

レポートの全文は、デジタルツールのPeclers+に掲載されています。

ネイチャーズ・ワンダーランド(自然のふしぎ)」と「 パーセプションズ・オブ・リアリティ(現実の知覚) 」は、 エンバイロメント&デザイン 24年春夏に掲載されているトレンドです。

4つのライフスタイルと価値観に焦点を当て、新たな消費者意識に沿ったクリエーションや美的表現を提案しています。カラー、表面効果、素材サンプル、装飾など、新しい製品やストーリーテリングを生み出すためアイディア満載のブックです。

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